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大腸がん

大腸がんとは?

大腸がんは、大腸(結腸と直腸)の粘膜細胞が異常に増殖してできるがんのことを指します。大腸がんは、世界中でのがんによる死因の中でも上位に位置しており、早期発見と治療が非常に重要です。大腸がんは早期に発見すると、治癒の可能性が高くなるため、リスク因子に該当する人や好発年齢(40歳以上)に達した人は、定期的なスクリーニングを受けることが推奨されます。

大腸がんのリスク因子は?

大腸がんのリスクを増加させる可能性のあるリスク因子は以下の通りです:

年齢

40歳以上の人は大腸がんのリスクが高まります。しかし、若い人々でも発症することはあります。

家族歴

家族内で大腸がんや大腸のポリープの症例がある場合、リスクが増加する可能性があります。

遺伝性疾患

 例えば、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)やLynch症候群などの遺伝的疾患は、大腸がんのリスクを増加させることが知られています。

以前の大腸の疾患

以前に大腸ポリープや大腸がんの診断を受けた人、または炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)を持つ人は、大腸がんのリスクが高まります。

肥満

肥満の人は、大腸がんを発症するリスクが増加します。

喫煙

長期にわたりタバコを吸っている人は、大腸がんのリスクが増加することが示されています。

アルコールの過剰摂取

アルコールを過度に摂取することは、大腸がんのリスクを増加させる可能性があります。

不健康な食生活

高脂肪、低繊維の食事、または赤身の肉や加工肉の過度な摂取は、大腸がんのリスクを増加させると考えられています。

放射線

放射線治療を受けたことがある人、特に腹部や骨盤の放射線治療を受けた人は、リスクが増加する可能性があります。

タイプ2糖尿病

タイプ2糖尿病を持っている人は、大腸がんのリスクが増加する可能性があります。

大腸がんの症状は?

大腸がんの症状は、がんの位置やサイズ、進行度によって異なることがあります。初期の大腸がんは、症状が出現しないことも多いため、定期的なスクリーニングが推奨されます。以下は、大腸がんが進行するにつれて現れる可能性のある一般的な症状のリストです:

変わった便の習慣

長期にわたる下痢や便秘、または便の一貫性の変化。

便中の血

明るい赤色の血、または黒くてタールのような便。

腹痛や腹部の不快感

頻繁なガスの放出や膨満感、痙攣など。

不明瞭な体重減少

食欲に変化がないにも関わらず、体重が減少すること。

疲労や貧血

体が弱った感じや常に疲れている状態。
腹部の腫れや硬さ。

腸の完全な閉塞

これは進行した大腸がんの兆候であり、便通の困難や腹痛を伴うことが多い。

吐き気や嘔吐

特に腸の閉塞が起こっている場合。

これらの症状は、大腸がんのみならず、他の消化器系の疾患や状態にも関連することがあります。したがって、これらの症状が現れた場合、必ずしも大腸がんであるとは限りませんが、症状が持続する場合や症状が悪化する場合は、医師に相談することが重要です。

大腸がんの治療は?

大腸がんの治療方針は、がんのステージや位置、患者の全体的な健康状態など、さまざまな要因に基づいて決定されます。以下は、大腸がんの一般的なステージ別の治療方針の概要です:

ステージ0とステージIの一部

内視鏡

検査中大腸がんが、粘膜までか、粘膜下層の浅いところまでにとどまっていると考えられる場合には、内視鏡による治療(ポリペクトミー、EMR、ESD)を行います。そして、切除した病理標本で病変が全て切除しきれていて、リンパ管や血管の中にがんが入り込んでいなければ、治癒切除とみなすことができます。

ステージI

手術

大腸の壁を貫通していないがんや、筋層に広がったがんは、手術で手術でがんと周囲のリンパ節を除去することが一般的です。この段階では、化学療法は通常は必要とされません。

ステージII

手術

がんが大腸の壁を貫通したり、近くの組織や臓器に広がっている場合、手術でがんと周囲のリンパ節を除去することが一般的です。

化学療法

手術後、再発のリスクが高いと判断される場合、化学療法が推奨されることがあります。

ステージIII

手術

がんがリンパ節に広がっている場合、手術でがんとリンパ節を除去することが一般的です。

化学療法

手術後、化学療法(アジュバント治療)が行われることが一般的です。

ステージIV

手術

がんを転移巣(大腸院外にある病変)を含めて完全に切除できると判断した場合は、がんと周囲のリンパ節を除去することを検討します。

化学療法

主治療として行われることが一般的です。転移部位の大きさや数に応じて、癌の遺伝子型などに基づいて効果的な薬剤の組み合わせが選ばれます。

集学的治療

化学療法に加えて原発巣(大腸にある病変)の切除や転移巣(大腸院外にある病変)の切除、または放射線治療などの治療を組み合わせておこなう(集学的治療)ことで、治療効果が高まることが期待できます。

放射線治療

症状の緩和や転移部位の治療のために行われることがある。近年では重粒子線治療や陽子線治療など治療効果の高い方法が開発されてきています。

臨床試験

新しい治療法や薬剤の試験に参加することも選択肢となる場合があります。
これらの治療方針は一般的なものであり、個々の患者の状況や健康状態、治療の目的(治癒を目指すか症状の緩和を目指すかなど)によって異なることがあります。大腸がんの治療についての最終的な決定は、専門家との相談のもとで行われるべきです。